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9月13日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 594字|2010.9.13|社会 (society)|ハロハロ ]

 今どきの野菜にキレがない。辛くない大根、ピリッとしないシシトウ。野菜市場のオヤジに注文をつけたら沖縄産トウガラシを取り出した。一袋35円。一見、地元のシシトウと変わらぬ。4本焼いて昼食に。オエー、口内火事!顔がゆがんだ。こりゃタネを取らないと。次の日、残りを二つに割り、指で種をすくい取った。あとで顔を洗うと、両眼が開けられない。顔が引きつった。ほおは真っ赤になった。

 沖縄に勤務経験のある後輩に聞いたら「それを食べたとは初耳」という。沖縄では酒に漬けるなど香辛料利用とか。それにしても超々々ホット!食べた翌日は排便まで熱かった。トウガラシで昔聞いた落語「疝気(せんき)の虫」を思い出した。話はこうだ。踏みつけようとした虫が命乞いをする。助けたら疝気の虫だった。疝気は下腹部痛を伴う男の病。虫は助けられた礼に好物は蕎麦(そば)で怖いのはトウガラシ、蕎麦で元気付いて暴れ、トウガラシが来ると陰のうへ逃げ込む、と打ち明けた。

 疝気退治に男は一計を案じる。女房に蕎麦を食わせ、男の口元で蕎麦のにおいをさせる。好物のにおいに釣られて虫どもが女の体内に移動。すかさずトウガラシ入り丼水を女房に飲ませる。疝気の虫は難敵を逃れて体内を下降、隠れ家へ向かうが「あっ、ない!」。志ん生の下ネタばなしに笑い転げた。虫だけではない、こちら超激辛のトウガラシに、今夏、のた打ち回った。(紀)

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