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8月30日のまにら新聞から

完全武装解除を

[ 712字|2010.8.30|社会 (society)|新聞論調 ]

バス乗っ取り事件の教訓

 バスの周辺には薬きょうが散乱していた。射殺された乗っ取り犯のメンドーサ元警部はM16ライフルと弾倉3個、45口径ピストルと弾倉3個、さらにナイフや手錠、国家警察の身分証や銃所持許可証などを持ち込んでいた。

 いったいどうして警察を7カ月前に罷免された男がこんなに多量の武器や銃弾を所持していたのか。警察では配属された現役警官に銃弾を配る際にも制限をかけているはずなのにだ。

 他の国では停職処分を受けた警官ですら、拳銃だけでなく身分証も一時返却することを義務づけられている。しかし、この国では恐喝で罷免された元警官が制服を着用し続けることができ、銃器を2丁も所持し、しかも、そのうちの一つは殺傷能力の高いライフルなのだ。だからよく、罷免された警官が誘拐や銀行強盗、自動車窃盗事件などに関与しているとか、もしくはそれらのギャング団の首領になっていると言われているのも不思議ではないのだ。

 メンドーサ元警部の場合、当日、彼がマニラ市警察本部の制服を着てライフルを抱えていたために、途中でバスに乗り込み、運転手に現場となったキリノ・グランドスタンドまで乗せる必要があると簡単に信じ込ませることができたという。かつて行政監察院がこの元警部の罷免を決定した直後、警察は彼を「完全武装解除」すべきだった。

 メンドーサ元警部は犯罪に使用した武器をどこで入手したのだろう。警官だとマニラの露店で手錠を簡単に入手できるのだろうか。今回の乗っ取り事件の調査報告書にはこれらの武器の入手経路をはっきりさせる必要がある。銃器は人間にあたかも自ら権力を有しているという幻想を抱かせる。元警部はこの幻想に惑わされたのだ。(26日・スター)

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