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8月23日のまにら新聞から

読書意欲

[ 748字|2010.8.23|社会 (society)|新聞論調 ]

数少ない比関係書籍

 私は古本購入に関心を持っている。とはいえ、足を向ける首都圏や地方都市の書店で、高価な古本に目を奪われているわけではない。数日前、99ペソでハードカバーの古本を手に入れた。書棚に宝石を見つけた思いだった。エリー・ウィッセルの「ア・マッド・デザイア・トゥー・ダンス」(2009)、ウォルター・モズリイの「フェアレス・ジョーンズ」(01)、ジャック・ケルアックの「路上」(07)︱︱の3点。「路上」は40年前に読んでおり、過去の記憶を振り返ることになる。ケルアックはビート族の元祖でヒッピーの先駆者。46歳で死んだが、右翼的な思想を持っていた。はまっていたら、私の人生は危うく彼に狂わされるところだった。ウィッセルを読むのは初めてだったが、これからもその作品を読むことになりそうだ。

 古本屋の書棚で10分間は立ち止まり、眺めてみる価値はある。まれに1つか2つ、宝石を見つけることがある。私の経験では、貴重な小説本を探す場合、新刊書店より古本屋で探す方が見つかりやすい。後者が質より量で古本を一括購入するからだ。つまり、商談の際、「文学作品も一緒に引き取ってほしいね。1キロで50ドル。さあ、どうします」と迫られる。

 フィリピン関係の本が充実している大手書店もあるが、大抵は比関係本はかろうじて存在している程度だ。欧米作家の大したこともない書籍が大量に並んでいるのに対し、比の歴史や時事に関する本が少ないのはどうしてだろうか。古本屋の多くには米国か英国で出版された書籍ばかりが並んでいる。そうした書籍がどうして比に流れてくるのか。数年前、ロンドンで「貧しい比人」のために寄付が募られていた。寄付された本が商業ルートに乗って、比に流れ込んだのかもしれない。(17日・トリビューン、ケン・フラー氏)

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