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7月26日のまにら新聞から

責任者の追及を

[ 726字|2010.7.26|社会 (society)|新聞論調 ]

洪水制御事業の遅延

 洪水制御事業が完了するまでどのぐらい時間がかかるのだろうか。首都圏マラボン市の住民にとって7年間という年月は長過ぎるだろう。2007年に完成予定だったことを考えるとなおさらだ。同市議会はこの事業、つまりカロオカンや同市、ナボタス、バレンスエラ各市から構成される「カマナバ地域」を対象とした洪水制御事業の遅延に関し公共事業道路省の幹部を相手取り行政および刑事告発を行う予定だと報道されている。

 これらの地域は満潮時になっただけで洪水が頻発する。台風の季節になるとなおさら深刻な被害を受けるのだ。しかも現在、これらの地域のいくつかのバランガイ(最小行政区)では深刻な水不足という被害にも見舞われた。

 マニラ首都圏の多くは徐々に地盤沈下しており、スペイン植民政庁時代から定期的な洪水を経験してきた。しかし、このカマナバ地域は今から30年ほど前に低価格住宅や商業地域の開発を進めるために埋め立てた地区も多い。それだけ洪水被害は深刻で、総額35億ペソを投入する同事業は洪水緩和に寄与するとみられてきた。

 同市幹部らは今年3月までには同事業が完了すると聞かされてきた。しかし、同市選出の下院議員によると、7月現在でまだ全体の12%が残っており、今年の事業費は既に使い果たされてしまったという。カマナバ地域は首都圏で最も人口密度の高い地域で、地方自治体幹部や住民らは事業の進展を見守っている。

 国内には同事業以外に、いったいどれだけの洪水制御事業がこれまで何年間にわたって遅延してきたことだろう。遅延の理由はいったい何だったのだろう。新政権はこれらの事業が遅延した原因を突き止め、いったい誰が責任を負うべきかを明確にすべきだろう。(22日・スター)

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