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4月5日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 622字|2010.4.5|社会 (society)|ハロハロ ]

 日本では、春分から4月上旬にかけての気温の上昇率が年間を通じて最も大きいという。その春分、今年は3月21日だったが、翌22日、東京から「花便り」が届いた。靖国神社でこの日、桜が5〜6輪咲いたと気象庁が発表した。観測の対象になっているソメイヨシノは江戸時代、江戸駒込の染井で植栽を始めたもので、吉野の山桜とは別種だそうだ。桜の開花を役所が発表するのは、国民が「春」を待ちわびる日本だけかもしれない。

 日本で気温が上昇するのと符節を合わせるように、様々な花木が、フィリピンで緑の草原にアクセントをつけている。ごく一部を紹介すると、花木の代表格は色鮮やかなハイビスカス(グマメラ)。ただ一、二日での落花が悔やまれる。大木では、黄色い花が木全体を覆うフィリピンの国樹、インドカリン(ナラ)、ピンクの花が可憐なアメリカンネム(アカシア)、フジの房のように黄花が垂れ下がるゴールデンシャワー……。(カッコ内は比名)

 野焼きの煙がゆっくりなびく南ルソンの草原や山を眺めていると、季節の移り変わりは、日本のような四季だけではないことに気づく。目の前にそびえる夕映えのマキリン山。このところ、こんもりした山肌に柔らかい緑が目立つ。木々が若芽を吹いた春山の明るい感じを俳句の季語で「山笑う」という。出典は中国宋代にさかのぼるそうだが、今のマキリンにぴったりの表現だ。都会から郊外に一歩出ると、この国の美しい自然に出会える。(濱)

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