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2月1日のまにら新聞から

準備を怠るな

[ 702字|2010.2.1|社会 (society)|新聞論調 ]

上院議長下ろしの波紋

 エンリレ上院議長に議長辞任を求める声の高まりには、政治的思惑が色濃く出ている。5月の統一選が失敗した場合、憲法は「大統領、副大統領が選出されない、あるいは失格するか、死亡あるいは永久的に障害を持った場合には、上院議長、それが不可能な場合は、下院議長が大統領を代行する」と明記している。

 エンリレ議長は上院選に再出馬し、ノグラレス下院議長も同じく市長選に出馬するので両者とも代行は不可能なため、もし選挙が失敗した場合、次期大統領が選ばれ正式に就任するまで、大統領職を務める人間がいなくなるというわけだ。

 一部上院議員の新議長選出提案について、エンリレ議長と同僚議員らは、大統領選立候補者のビリヤール議員が関与している幹線道の予算二重計上問題に関する審議を止めさせようとの思惑が背景にあると主張。さらに、ビリヤール議員が選挙までに上院をコントロールする基盤を整えようと企んでいるとも指摘している。

 そこで、ピメンテル上院野党院内総務は2007年上院選での最上位当選者を暫定議長に就かせることを提案。該当者はレガルダ議員になるが、彼女は副大統領選に出馬するため、2位のエスクデロ議員が議長および大統領代行になる。これを円滑に実現させるため、エンリレ、ビリヤール両派はエンリレ議長が再選を果たせば、議長職に復帰させることで合意すべきだ。

 中央選管は、選挙中止はないと大見えを切っているが、選挙中止への準備は必要だ。別の選択肢はアロヨ大統領の留任だが、国民がこれに納得するとは思えない。留任させれば、暴力的抗議行動や暴動が発生し、軍政への口実を与えかねないからだ。(1月26日・インクワイアラー)

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