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2月1日のまにら新聞から

信頼崩壊の危機

[ 739字|2010.2.1|社会 (society)|新聞論調 ]

最高裁長官後任問題

 5月17日に退官するプノ最高裁長官の後任の前倒し選考問題で、司法弁護評議会(JBC)に対する圧力は一時的に和らいだようだ。論争はJBCのメンバーである政権与党ラカス・カンピCMDのデフェンサー下院議員=首都圏ケソン市=が「後任選考を始め、最低3人の推薦者名簿を大統領に提出するよう」と求めたことから始まった。デフェンサー議員の提案は、①後任候補者の公募、全国紙での候補者名の公開と候補者に対する意見の募集、JBCによる公開面接、推薦者名簿の作成②アロヨ大統領への同名簿の提出︱︱の2点が柱だ。

 ②の提案には、パガニバン前最高裁長官、メンドーサ最高裁判事、メロ中央選管委員長(元判事)、アテネオ大のベルナス法学部長、元行政監察院長である比弁護士会のマルセロ会長ら法曹界の重鎮たちから激しい反発が出た。その一方で、法曹界の著名人であるベロシリオ、サンチャゴ両元最高裁判事、比憲法協会、エンリレ上院議長は、アロヨ大統領による後任任命が可能との立場を表明した。

 最高裁のマルケス広報担当官は、任命問題について最高裁が最終的な是非の判断を下すとしているが、それは危険を伴う。これはアロヨ大統領の任命を受けた最高裁判事14人への不信を募らせることになり、最高裁にとって良策ではない。

 すでに世論は、判事らが(政権与党への)「信頼性」を試されているのだと憶測し始めている。これは、パガニバン長官時代に違憲判決が下された改憲に向けた有権者発議が背景にある。判事らに一方で「信頼性」、他方で「独立性」が問われている。この道を突き進んだ場合、最高裁の信用を傷つけることになる。守らねばならないのは、何にも増して「信頼」なのだ。(1月26日・ビジネスミラー)

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