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7月27日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 592字|2009.7.27|社会 (society)|ハロハロ ]

 東京・東銀座の松竹歌舞伎座が来年、建て替えのため取り壊される。今年は「さよなら公演」というので、大いに観客動員している。歌舞伎は日本の伝統芸。きらびやかな舞台に目を奪われる。この素晴らしさはTVでは味わえぬ。造りからいったら観客席にしろ舞台にしろ国立劇場の方が上だと思うが、歌舞伎座には昔風の芝居小屋といった雰囲気が少しながら残っている。

 6月は仁左衛門が「さよなら公演だから」と催促され、もう一生やらぬつもりだったという「女殺油地獄」の与兵衛を演じた。こういう柔な悪党をやるとさすがだ。ここ30年、年に2回程度だった歌舞伎座通いだが、さよなら公演のキャッチフレーズでちょくちょく出かける気分になっている。

 1998年12月、食道がんで築地の国立がんセンター中央病院に1か月入院した。ごく初期症状だったので、3分ほどの放射線治療が朝のうちに終わると、散歩などで体力維持に努めるよう主治医の助言を受けた。それに便乗して抜け出し、近くの歌舞伎座へ。スーパー歌舞伎の猿之助が「国姓爺合戦」を通しでやっていた。相変わらずの奮闘公演。幕間(まくあい)に食したにぎりずしのうまかったこと!病院食にげんなりしていたのでなおさらだ。幕間の食事、名物の甘いもの。ときに館内展示の役者絵を眺める。舞台ではお気に入りの役者の芝居を堪能する。歌舞伎座で過ごす5時間は夢の中である。(紀)

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