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7月27日のまにら新聞から

外資に奪われる農地

[ 715字|2009.7.27|社会 (society)|新聞論調 ]

農務長官は我関せず

 突然の報道に農務省関係者は驚いた。韓国の自治体が年間1万トンのトウモロコシ生産のため、ミンドロ島の農地9万4千ヘクタールを借地契約したというのだ。ヤップ農務長官は明確な情報を知らされておらず、国内の食糧供給と農民の福利に対する影響を懸念した。

 外資による農地借地に関する情報が同省当局者の知らぬ間に報じられる事態は今回が初めてではない。7月初旬にはイロコス地方の元下院議員が、日本の事業者がバイオディーゼル燃料精製用に同地方のココヤシプランテーション60万ヘクタールを借地しようとしていることを公表した。2008年12月には、アロヨ大統領のカタール訪問に同行した同省関係者が同産油国に10万ヘクタールの農地を貸し出す話を持ち出し、07年には、中国が増え続ける国民の食糧確保のために比国内の土地124万ヘクタールの利用を目指していると農地改革省の官僚が発言した。

 同長官は、農地を貸し出さねばならない小さな農地所有者に何が起こるか想像もできないだろう。農民らが苦労して耕した土地を手放し、ベランダでのんびりと外資が支払った借地料を数えることになるだろうか。同長官は「食糧用農地の非食糧用農地への転換は許可しない」と述べたが、ミンドロの農地の半分は飼料用、イロコスにおいては食用油ではなく、金を生む新バイオ燃料が作られる。

 労働人口の35%が農業部門に従事している。世界経済危機では、農業が他部門より多くの雇用を創出しているという統計もある。それでも同長官は外資の借地に利点もあるという。予算難の政府に代わり、外資なら1ヘクタール当たり60万ペソのかんがい費用を出せるからだ。(20日・スター、ジャリウス・ボンドック氏)

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