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7月13日のまにら新聞から

自作自演の破壊行為

[ 703字|2009.7.13|社会 (society)|新聞論調 ]

ミ地方の連続爆弾事件

 ミンダナオ地方の連続爆発事件を受けて首都圏に厳戒態勢が敷かれた。爆弾テロ専門家が首都圏に潜入したとの情報に加えてゴンザレス大統領顧問(安全保障担当)の「鉄拳制裁」発言が飛び出した。一連の流れは、マルコス政権の戒厳令布告直前の動きに酷似している。

 ゴンザレス大統領顧問は9日、違法行為の乱発に鉄拳を下す用意があると発言した。つまり、大統領の延命措置である憲法改正の代用手段として戒厳令に準ずる緊急支配を明確にした。

 先週はマギンダナオ州コタバト市など3市町で爆弾事件が発生した。3市町はいずれも現政権が破壊工作を行う常連市町である。国軍・国家警察はイスラム系テロ組織の犯行と早々と断定し、爆弾の痕跡からイスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)を名指しした。これに対し、MILFは本隊・分派組織による犯行を断固否定し、ミンダナオ絡みの問題を一くくりにする現政権を批判した。

 無論、大統領の延命計画では、MILF和平交渉の実現は視野に入っておらず、一連の動きは首都圏での行動計画の前兆にすぎない。

 連続爆弾事件は過去と同様に大統領施政方針演説の直前に発生した。反政権側がテロ行為を支持しているかのような印象を与えるためだろう。 

 大統領一派は改憲実現から究極的な選択肢にかじを切った。国会議員も連続爆弾事件がミンダナオ地方では、非常事態と呼ぶには説得力に欠ける。無法地帯が首都圏に到達してはじめて強権発動が国会の承認を得るわけだ。つまり、次に予測されるのは首都圏での爆弾事件という「自作自演のクーデター」。大統領は邪悪な志を貫くための手段を選ばないようだ。(10日・トリビューン)

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