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5月11日のまにら新聞から

産業未発達が主因

[ 717字|2009.5.11|社会 (society)|新聞論調 ]

失業者増加問題

 「メーデー」は海難や航空機乗っ取りを知らせる信号に使われる合図。一日のメーデーにも「メーデー」が発信されたのではないだろうか。今回は、金融危機の影響で失業者が増加する危機的な年のメーデー。イボン財団によると、平均失業率は二〇〇一年から〇九年第一・四半期まで一一%以上のまま。製造業での労働人口縮小は、米国市場への依存を示し、経済後退に比例して悪化の一途をたどっている。

 〇七、〇八両年で計二十五万九千人が失業。比人海外就労者(OFW)も十五カ国・地域で影響を受け、五千七百七十四人が職を失った。八十万人を雇用するとした政府による緊急対応策も、新卒者を含めた求職者が九十万人以上に上っていることから不十分であることが明確だ。

 これは、人口に見合った雇用機会を創出する国内の基幹産業が少ないことから慢性的な問題となっている。主要経済分野における雇用者数は産業の未発達さ、生産力の小ささを反映している。六〇︱九五年の労働人口統計をみると、製造業が占める割合は一一︱一五%から上昇していない。比の主要産業は、設備や原料を輸入に頼る軽工業や建設業、鉱業。さらに、国内産業は、民芸品や家具、食品関連など雇用者数十人以下の生計手段的な零細ビジネスが九分の一を占め、半導体や繊維を中心とする大企業は一%にとどまっている。

 このような現状はまさに「メーデー」であり、石油製品や電力の付加価値税撤廃や地元産業への金融支援、社会サービスの改善で金融危機の影響を緩和し、長期的にもインフラ整備や自由貿易化の阻止などを実践すべきだ。それが実現すれば、われわれはメーデーを心から祝うことができるだろう。(7日・タイムズ)

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