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9月29日のまにら新聞から

検査の徹底を

[ 718字|2008.9.29|社会 (society)|新聞論調 ]

中国産乳製品の汚染問題

 中国で有害物質メラミンの混入したミルクを飲んだ大勢の幼児が腎臓結石を起こして入院、死亡者も出るなど深刻な事態に発展した。世界保健機関(WHO)は、中国政府が疑いのある乳製品の回収および検査に着手したとの声明を発表した。一方で、不利な情報をコントロールしようとした中国政府による事態の悪化も指摘した。

 幼児入院という報告にもかかわらず、中国政府の事実認定が遅れたことで、関係各国は対応を迫られることになった。比国内では、厚生省と貿易産業省などが乳製品の販売、輸入状況を確認するとともに、国家警察も市場を見て回り、店主に警告するなど対応した。

 子供を持つ両親は、店の棚に並んだ牛乳や粉ミルクを手にとって入念にチェック。しかし実際は、製造過程で中国産ミルクが使われた乳製品を消費者が摂取している可能性は否定できない。さらに、原産を偽った乳製品がこの国に流入している可能性も見逃してはならない。

 乳製品に対する国民の信用が損なわれれば、この国の酪農産業は大きな損害を受けることになる。

 しかしながら問題は、政府高官と業者の「癒着」が原因で密輸が常態化していることだ。特に地元業者は、廉価で大量生産された中国製品が密輸される実態に異議を唱え続けてきた。あらゆる物が密輸で入ってくる中、被害を受けるのは消費者だ。

 有害物質が混入されたミルクによる幼児の死亡は、それを販売した業者だけでなく中国政府の高官にも当然責任がある。比政府は中国産乳製品が汚染されているかどうか確実に突き止めるべきだ。そして他の東南アジア諸国とともに、中国という巨大な貿易相手から輸入された製品を徹底検査する必要がある。 (24日・インクワイアラー)

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