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9月1日のまにら新聞から

英雄とは言えず

[ 723字|2008.9.1|社会 (society)|新聞論調 ]

首都圏開発局長の選挙対策

 フェルナンド首都圏開発局長は同局が管轄する各地の交通緩衝帯や標識に自身の顔写真を張り巡らせている。次期大統領選をにらんだ政治的意図を明らかにしたものだが、これを首都圏だけでなく全国の地方州でも繰り広げると公言している。かつて技師であり、建築会社を経営していた同氏らしい戦術と言える。

 ただし、フェルナンド局長は公費を使ってこのようなキャンペーンを行っているのだ。もう詐称者であり権力乱用者の域に達している。今月のニノイ・アキノ元上院議員暗殺記念日や英雄の日を控えて、首都圏開発局は「英雄」という意味を持つ長官のファーストネームを印刷したパンフレットやステッカーを大量に配付した。そしてこのステッカーを車両に張った車やバイクの運転手が交通違反を犯しても同局の交通整理員らは従来通りに厳しく取り締まらないという。

 アキノ氏をはじめとする歴史的偉人たちが示した英雄的行為は、自己犠牲の精神に基づいたものだった。自分を愛国者や英雄の仲間入りさせようと自ら努力するのは極端なエゴイストのなせる業である。自らの高慢のために国民を犠牲にしようとしているのだ。

 パラニャーケ市選出のゴレス下院議員は同局長に大統領選出馬をあきらめるよう訴えている。最近の大統領候補に関する民間調査でも同局長は有力候補に入っていない。ゴレス議員は同局がUターン地帯に一斉に掲げる局長のポスターを引き合いに出し「大統領の野望から今こそ引き返せ」と皮肉っている。

 同局長を含め大統領選を目指す政治家たちが広告塔やテレビコマーシャルへの露出度を最近高めているが、これは公職選挙法に抵触している。彼らは公共の場を利用した売り込みを中止すべきだ。(29日・インクワイアラー)

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