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8月11日のまにら新聞から

違法行為も黙認

[ 696字|2008.8.11|社会 (society)|新聞論調 ]

MILF民家焼き打ち

 和平交渉の目的とは、国民が法を順守し、平和に生活する社会を形成することではなかろうか。

 イスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平交渉が着実に締結へと進む一方で、政府は無法行為を繰り返す反政府勢力メンバーへの肩入れに忙しいようだ。和平交渉の相手側に所属する武装集団が民家に火を放ち、善良なる住民が難民と化している現状が和平交渉の代償であってはならない。

 これは、ミンダナオ地方北コタバト州で実際に起きていることだ。同州政府幹部はMILFによる脅迫行為からの州民保護を比政府に要請した際、政府は「それは州政府の問題だ」と要請を突き返したという。

 和平交渉を進展させる方法とは到底言えない。イスラム最大勢力、モロ民族解放戦線(MNLF)が比政府との和平交渉を締結した直後、北コタバト州民は一九九六年、イスラム教徒自治区(ARMM)への編入を住民投票で拒否した。

 北コタバト州民が自治政府への編入を拒否したことは尊重されるべきで、住民投票の意味はここにある。政府が同州民を州外に退去させてMILFに同州を引き渡したいのなら別の話であるが。

 MILFによる北コタバト州内での襲撃は今週、散発的に発生している。MILF側は政府の暗黙の了解を取り付けて、強制的に住民から土地を接収しているようだ。このやり方に、恐怖を訴える住民もいる。

 世界各地の武力紛争地でも今回の土地強制収用のようなやり方が起きてきた。政府が和平構築を真剣に考えているのであれば、和平交渉を盾に繰り返される放火や強奪行為を阻止すべきだ。国民の安全保護は、政府の義務ではないか。(6日・スター)

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