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6月30日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 622字|2008.6.30|社会 (society)|ハロハロ ]

 首都圏の南郊。ラグナ、バタンガス両州にまたがって広がる濃淡様々な緑の草原は六月に入り、毎日のように雨に洗われている。それも夕立と呼べる時刻が多い。「馬の背を分ける」という表現がぴったりの降り方で、狭い区域だけを雨雲が濡らす。また、西に見えるタガイタイ高原の方角から、薄いベールを横に広げたようにして迫ってくる雨もある。

 それぞれに情緒を感じるが、台風フランクがそれを一変させた。しかし、二十二日朝方、豪雨は収まり、雲が北北西に流れ出した。台風の動きは日本の気象庁のホームページを情報源にしていたが、最新の動向が知りたくて、午後三時ごろ、フィリピン気象庁のホームページを開いてがく然とした。この朝五時に出された発表で、台風の位置は午前二時現在のまま。日本の気象庁が出す台風情報は進路図入りで三時間ごとに更新、日本に近づくと一時間ごとになる。

 ホームページと異なり、沿岸警備隊などには台風情報が刻々届けられていたと思う。それに基づいて適切な判断が下されていれば、大型フェリー沈没の悲劇は未然に防げたのではないか。この国は七千を超える島から成る海洋国で、船は重要な交通手段。今回の事故を契機に政府は台風接近時の貨客船の運航を検討するというが、検討だけで終らないよう切望する。五十年近く前、台風が接近中にマニラ港を出て、波にほんろうされる貨客船でルバング島にたどり着いた経験がある。願いはひとしおだ。(濱)

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