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6月30日のまにら新聞から

求められる立法

[ 671字|2008.6.30|社会 (society)|新聞論調 ]

フェリー転覆事故

 大型フェリー、プリンセス・オブ・ザ・スターズの転覆事故で行方不明者の捜索が続く中、国会議員は事故原因に関する委員会調査を行うか否かを検討している。しかし、国会にはこれまでにも事故を回避する機会はあったのだ。

 報道によると、一九八七年の大型フェリー、ドニャ・パスと石油タンカーの衝突事故(約四千人死亡)の事故原因を調査した第八期国会以降、海事産業に関する法案は可決されていない。

 第八期国会から現在まで海事安全と規制強化に絡む法案や決議案は数多く提出された。だが、メディアの関心が低下すると同時に、国会の目は次の問題へと移り、法案・決議案は消滅してしまう。

 第八期国会に話を戻そう。上院議会は海事産業の安全面において、比沿岸警備隊と比港湾庁、比測地線統計局などを海事安全委員会へ統合することを提案した。だが、統合は実現せず、各機関は今も、海難事故が発生するたびに、責任のなすり合いを続けている。

 運航会社は一昔前の法律を盾に、乗員・乗客の死に対する処罰を免れている。今回のフェリーの運航会社スルピシオ・ラインズにいたっては、同社所有のフェリーが過去三度の大事故を引き起こしているにもかかわらず、営業停止処分さえ受けていない。

 今回の事故を受けて、国会議員は原因追及の調査を検討しているという。アロヨ大統領の訪米に同行した議員五十九人が帰国すれば、関係委員会に所属する議員は調査実施を求める動きを加速させるだろう。国会議員が一時の熱意以上のことを実現できれば、彼らの意見にも耳を傾ける価値が出てくるだろう。(27日・スター)

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