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5月26日のまにら新聞から

多難な学校改革

[ 722字|2008.5.26|社会 (society)|新聞論調 ]

容易な解決なし

 まもなく新学期が始まるのを前に、政府は授業再開の準備に取り組んでいる。果たして、学期始めに向けて十分に準備しているだろうか。

 六月十日、一斉に公立学校に登校する生徒たちは毎年同じ問題に直面する。教室不足のため、教師らは一日に三部制の授業を強いられる。これは、教室に入りきらないほど学級の生徒数が多く、授業時間が短いことを意味している。 

 私立校に通う生徒は一日中、授業に時間を費やすことができるが、恵まれない家庭の子供たちが学校にいるのは一日平均四時間だけにすぎない。

 全学年で能力の高い教師が不足している。最近の報告によると、給料の遅配や公立校教師の採用時に起きる汚職問題などが事態を一層悪化させている。最良の教師たちはより良い待遇を求めて海外へ出かけ、政府はその不足を埋め合わせることができない。

 教科書を含めて学用品が著しく不足している。生徒七十人のクラスが一科目に教科書一冊を共同使用する場合も珍しくない。その教科書も文法や事実の間違いが多く、教師もそれに気付くほど十分な知識を備えていない。

 コンピューターともなれば、ほとんど学校にない。世界各国では自国民にコンピューターを熟知させようと躍起になっているが、フィリピンの対応は遅い。多くの公立校教師がその使い方を知らず、インターネットにすらあまりアクセスしない状況だ。

 基礎教育は無料で受けることができるが、それ以外に子供に必要な食費や交通費などの経費は大半の家庭にとって大きな負担となる。貧困は、小学生という初期段階での中退率を高める要因になっている。

 新学期が始まるが、早急な対策が必要とされるこれらの問題すべてに容易な解決はない。(21日・スター)

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