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5月19日のまにら新聞から

三権分立はどこに

[ 734字|2008.5.19|社会 (society)|新聞論調 ]

三権諮問評議会

 司法府の問題が予算不足であるとすれば、討議の場は下院ではないか︱︱。司法、立法、行政府間の三権諮問評議会(JELAC)創設を受けて、サロンガ元上院議長がこう疑問を呈した。

 司法府は財政自主権を付与されているはずで、JELAC設立の趣旨が予算問題であるとされたことは法曹界に懸念を抱かせた。実際、商取引上の紛争や契約に絡む問題を含め、この国ではすべての紛争が裁判所に持ち込まれている。司法の独立が最高の重要性を持つ由縁である。それだからこそ、プノ最高裁長官が司法府の予算問題を行政府、立法府と議論するのはあって良いことではない。

 現政権下では、司法府の独立や検察機能への懸念が再三、浮上している。国会が政府絡みの汚職や疑惑に関する審議を延々と続けても国民が容認するのは、司法府と検察機能が大統領府の影響を受けていると考えているからである。JELACの創設はこの懸念を一層深めた。

 JELAC創設支持派は反対派に対して、「チャンスを与えるように」と要求している。だが、三権合同の会合となれば、立法府は三権分立の強化を約束する法律を策定して司法府の独立と妥協するようなことをしないで済むだろう。一つの解決法は、裁判官が退官後、現職大統領の任命によって在外公館や政府系企業などを含む公職に就くことを禁止することだ。これにより、行政府に有利な判決の見返りに司法官に適正を欠く贈与行為をすることを阻止できる。また、裁判官の任命や昇進に関しては能力重視主義を旨とする法律も必要だろう。

 成熟した社会では、このような立法は不要だが、この国には政治的成熟は欠落している。また、このような法律を作るのにJELACは必要ない。(16日・スター)

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