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5月5日のまにら新聞から

要員撤退の中止を

[ 728字|2008.5.5|社会 (society)|新聞論調 ]

国際停戦監視団問題

 ルソン、ビサヤ、ミンダナオ各地方と首都圏で平和運動に従事している者たちは今、比南部で展開されている国際停戦監視団(IMT)からのマレーシア要員撤退決定に強い懸念を抱いている。IMTは比政府とイスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)との停戦状況を監視するため、ミンダナオ地方で二〇〇四年に発足し、マレーシアが要員の大半を派遣している。

 IMTの任務は重要で、もし、マレーシア要員の撤退が現実化すれば、比政府とMILFとの和平交渉の行方に暗雲をもたらすと同時に、軍事衝突がさらに増え、地域住民を一層の不安に陥れる。現在、各国の協力で進められている同地域復興事業にも多大な影響が出るだろう。

 マレーシア政府がIMTで果たしてきた貢献度は高い。同政府は比政府とMILFとの和平交渉も仲介、ミンダナオ地方での和平実現に協力してきた。この結果、一時は年間七百件にも上った軍事衝突が今では二十件にまで減少し、住民の間に和平機運が高まるなど成果を生んでいる。

 マレーシアのアブドラ首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)の共存共栄を念頭に、「各国の利害を超えた共通利益を追求し、加盟国が協力し域内に繁栄をもたらす必要がある」と述べている。マレーシアのIMT参加は首相発言の具体的例であり、域内政治指導者としての強い決意表明でもある。ミンダナオ地方での停戦監視にとどまらず、域内和平の実現に向け、同国要員のIMT参加は不可欠だ。同地方の戦後復興を目指す支援諸国もマレーシア政府の役割を高く評価している。比がコメ不足危機に見舞われている今だからこそ、盟友マレーシアの助けが必要だ。同国要員のIMT参加継続を強く望む。(2日・タイムズ、エド・ガルシア氏) 

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