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4月28日のまにら新聞から

現実を直視せよ

[ 732字|2008.4.28|社会 (society)|新聞論調 ]

最賃引き上げ問題

 労働者たちの生活改善を求めるメーデーが近づいている。今回のメーデーは例年以上に賃上げ問題が重要な意味を持つ。米価が高騰し、貧困層を中心に売られている安価な政府供給米が市場から姿を消しつつあるからだ。

 これを受けて国会の左派系議員たちから最低賃金を百二十五ペソ引き上げるよう求める声が上がっている。左派系政党にとって、貧困層は重要な票田であるが、今回の米価高騰という厳しい現状を考えると、左派政党からの賃上げ要求を支持しないわけにはいかない。豊かな二十一世紀建設を目指している中、腹をすかせ、医者にもかかれず、十分な教育も受けられない貧困層を座視はできない。とはいえ今回の百二十五ペソ賃上げ法制化がすんなりと運ぶとは思えない。国会議員たちにはさまざまなしがらみがあるからだ。

 政府は各地の地域賃金・生産性委員会(RTWPB)に賃上げ問題を検討するよう命じた。前回の賃上げ実施から一年以内の賃上げは禁じられているが、今回だけはそれが実現する可能性がある。米価の上昇、原油価格の高騰による諸物価への影響を考えると、例外的な賃上げ実施は当然だ。政府は低いインフレ率を自負しているが、賃上げが実施されれば、その影響で諸物価が影響を受け、同率を押し上げることになるだろう。

 アロヨ政権下の経済成長で恩恵を受けている民間企業は、その利益を還元する責任がある。大統領は遠慮することなく、民間企業に対し賃上げ実施を積極的に働き掛けるべきなのだが、大統領が言っているのはコメ支給、交通費補助などといった賃上げとは別のもの。労働者の苦しい現状を考えると、本当の意味での賃上げ実施が求められている。政府、経営者は言を左右にせず、素直に賃上げを認めるべきだ。(23日・マラヤ)

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