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4月21日のまにら新聞から

家族計画の早期実施を

[ 723字|2008.4.21|社会 (society)|新聞論調 ]

疑問多い人口調査結果

 アロヨ大統領はこのほど、二〇〇七年八月現在の比の人口が「八千八百五十七万人」に達したと宣言した。人口調査は同年八、九月に実施されたが、国家統計局の調査員が各世帯をくまなく訪れ、正確に調査したかどうかは疑わしい。「調査員は来なかった」と言う者が相当数いるからだ。調査は完全ではなく、実際の人口数は同結果を上回っている可能性が高い。

 国民の最低要求を満たせず、天然資源にも限りのある国家にとり、八千九百万人近い人口は多すぎる。都市、地方では今、庶民がコメを求めて長い列を作っている。都市化の進行と人口増により農地が宅地などに転用されているとの意見がある一方、農地の転用は人口増が主原因とは言えないとの反論もある。

 今回調査を機に、人口増および政府の人口政策の功罪をめぐる論議が活発化している。悲観論者は人口増が開発の障害となり、貧困を拡大させていると批判。これに対し、楽観論者は新しい命(人口増)は国家の大切な資産であり、政策さえ誤らなければ人口増は開発促進の担い手になると主張。その例として、人口大国の中国とインドが高度経済成長を続けていることを挙げている。

 しかし、この国は現実を直視する必要がある。適切な人口抑制策がないまま、国民の三分の一が貧困に苦しんでいる。失業者の増加、住宅および給水不足の深刻化が進み、教育を受けられない子供が数百万人にも達している。アロヨ大統領は経口避妊薬などを使った家族計画に反対している。カトリック教会はこの姿勢を歓迎するが、人口問題への無策が貧困拡大を招いているとの批判は根強い。大統領は残り任期(二年間)で、国家および国民の将来を考え、賢明な人口抑制策を打ち出すべきだ。 (18日・タイムズ)

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