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12月10日のまにら新聞から

大統領への忠節を優先

[ 670字|2007.12.10|社会 (society)|新聞論調 ]

議員連れのスペイン訪問

 スペインは、わが国がマルコス独裁政権からアキノ政権に変わったのを真っ先に承認してくれ、その後も寛容で熱心な援助を続けている。その意味で、わが国家元首の公式訪問は二度も延期され、遅れすぎの感があった。

 公式訪問では、一般にホスト国が国家元首とその家族、高位の側近の滞在費用を負担するが、その他の随員は自国持ちである。今回の随行団の構成には適正とは言い難い。両国関係に貢献してきたアンガラ上院議員を除いて、多くの同行した国会議員たちは両国の友好に有意義とは思えない。単にアロヨ大統領に対して忠節を励んだ褒賞として伴われたからだ。一例を挙げれば、ビリャロサ下院副議長だが、先の大統領府での金のばらまき疑惑で、自ら金を仲間の議員達に分配した一人である。彼女は比・スペインの友好に役立つというより、彼女自身の友情が大統領にとって貴重なだけである。

 かくも多数の国会議員を大統領の公式訪問にぶら下げたのは純粋に党派的、国内的、政治的な配慮であって国益のためとはいえない。下院は費用を出していないから、すべて大統領がパトロンになって連れて行ったのだ。

 与党系下院議員は、低価格医薬品法案などの重要法案が目白押しなのだから、いくら議席の過半数を占めているといっても、国内で審議に参加すべきである。少なくとも大統領自身が緊急とみなしている立法行為に参加しないで良い権利などはない。スペイン国王夫妻と記念写真をとる方が重要とでも言うのか。そうであれば、大統領が連れていくのに選んだ随行団の質の悪さを示すことに他ならない。(5日・インクワイアラー)

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