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10月22日のまにら新聞から

新聞論調

[ 704字|2007.10.22|社会 (society)|新聞論調 ]

犯人を挙げるのが先決−マカティ市の大爆発事件

 わが国最大のショッピングモール、グロリエッタで爆発事件が起き、多くの死傷者を出した。国家警察は爆弾によるものとして、東南アジアのイスラム・テロ組織、ジェマ・イスラミヤ(JI)につながるテロリストに焦点を当てて捜査している。

 一方、昨今の政治のありよう、それに首都圏で特に新しいテロ襲撃情報がなかったため、大統領府を取り巻いている政治スキャンダルから注意をそらす策謀ではないかという意地の悪い憶測が生まれている。

 だが、テロリストによる襲撃はこれが最初ではない。JIやイスラム過激派、アブサヤフ、あるいはJIと組んだイスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)すら幾つかの爆弾事件を首都圏で起こしている。世界中で過激なイスラム教徒たちが「防備の手薄な標的」を狙って、多くの死傷者を出しているのだ。

 この大量殺人の責めを負わせるには犯人を検挙する以外にない。治安機関はちゃんと任務を果たしているのか。今回の事件は、民間の警備員に対する爆発物発見の訓練についても疑問を起こさせた。過去数年間、ショッピングモール、ホテルなどでの警備は一向に改善されていない。バッグなど持ち物の検査は行われているが、ギフト用に包装された品物は開けられずに通され、女性の場合は身体を触っての検査がおざなりのままだ。警備員たちは、自分たちが何を探知しようとしているのか知っているのだろうか。手製爆発装置の材料を探知するための適切な機器を持っているだろうか。

 マカティ市で起きた爆発事件は悲しいことに、安全に対する脅威が今もなくならず、警備をおろそかにしていると死を招くことを思い出させたのである。(21日・スター)

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