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10月15日のまにら新聞から

機密保護が目的?

[ 649字|2007.10.15|社会 (society)|新聞論調 ]

行政令197号

 政府転覆計画が絶えず浮上し、国会が大言壮語の場と化し、国会議員が秘密会の規則さえ守らない。このような国情の下で、アロヨ大統領が九月下旬に署名した行政令一九七号にはそれなりの意味がある。

 行政命令は、政治的殺人・行方不明事件の解明や人権侵害問題の解消に向け、国防省と国軍、大統領府人権委員会の関係強化を義務付けた。だが、注目すべきは、国防省と国軍に「軍事機密」および「国家安全保障に触れる軍事作戦の非開示」を盛り込む、法案の作成を命じたことだ。

 イスラム過激派、アブサヤフや東南アジアのイスラム系テロ組織、ジェマ・イスラミヤ(JI)掃討作戦など国家安全保障と治安維持の観点から、保護すべき機密事項はある。

 しかし、行政令発令の時期があまりにも不自然だ。上院で再開した二〇〇四年大統領選不正疑惑に関する聴聞会では、大統領府は大統領令四六四号を盾に国軍幹部の出席を阻止した。国軍の関与が指摘される左派系活動家ジョナス・ブルゴス氏拉致事件では、母親エディータさんが国軍記録の開示を求めて控訴裁に提訴した。このような状況下、今回の法案作成指示は、現政権の隠ぺい工作への疑念を増幅させる。

 国連人権理事会の特別報告者や人権団体は、政治的殺人・行方不明事件で国軍の関与を指摘、これをかたくなに否定する国軍を非難した。

 大統領が求める法案とは、自身と自身の政治生命を握る国軍の保護が目的ではないかとの疑念が持ち上がる。沈黙を制度化する法律は、民主主義にとって不健全なものだ。(10日・スター)

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