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9月17日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 527字|2007.9.17|社会 (society)|ハロハロ ]

 日本を多神教の国と思っている人も多いが、誤解ではないか。中国人の寺廟(じびょう)を訪れるといろんな神仏像で所狭し。斉天大聖や関帝、大伯公など道教神と一緒に観音や弥勒(みろく)が同居している。それぞれにご利益がある。フィリピンの華人社会では一九七〇年代にサントニーニョ信仰が広がった。家の中で幼児キリストが関帝、すなわち三国志で活躍する関羽と並んでいる。

 フィリピンの土着的カトリシズムもかなり多神的である。教会の真ん中には十字架のイエスがましますが、周囲は聖人だらけである。マニラ市ビノンドのサンタクルス教会では聖人専用の礼拝所があり、病気に効くとか子育てに良いとか説明書が付いている。老若男女が熱心に祈っている。わが孫の苗字は十三世紀ボヘミアで殉教した聖人の名である。

 日本の神は八百万というほど森羅万象に充ち満ちているが、庶民の間では天照大神や八幡大菩薩の名しか知られていない。ご利益神はお稲荷さんくらいだろう。神に現世的な個性が付与されていない。「神仏」と呼んで抽象的であって、一神教と区別して強調するほど多神的ではない。十二世紀に親鸞が他力信仰を唱えて仏教を内面化した。マルティン・ルターより三百年以上も早い。   (水)

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