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9月17日のまにら新聞から

歴史の一章に幕

[ 713字|2007.9.17|社会 (society)|新聞論調 ]

前大統領への有罪判決

 エストラダ前大統領に対する有罪判決(略奪罪)で歴史の一幕を閉じた。今後、アロヨ大統領が特赦を与えようと、また最高裁が下級審の判決を破棄しようと、六年越しの不正蓄財裁判が決着したことで、国民は安どの気持ちを抱いている。

 裁判が長期間に及んだのは、被告と検察側が公正を求めて互いに主張し合ったからだ。特に被告側は許される範囲内で法の網の目をくぐろうとした。法廷闘争は徹底的に行われ、最終的に、公務員特別裁判所は法の原則を守った。

 権力の座から追われたが、前大統領は独裁者ではなく、高い国民人気で選出されていた。弾劾裁判での前大統領弁護は効果がなく、エドサ2政変では、当時の国防長官、国軍参謀総長が反旗を翻した。最高裁は、アロヨ副大統領昇格を正式に認定した。

 前大統領は当初から無罪を主張したが、政府は徹底的に反論した。さらに、持ち掛けられた亡命を拒否し、有罪受け入れを示唆するため大統領特赦にも応じなかった。国民の大半は、前大統領が前回(五月十四日)選挙戦で多くの政治家を勝利へと導いたと信じている。

 判決への再考申し立ては、少なからず望みはある。最高裁への上告は最後の頼みの綱だ。国民はこの歴史的判決を平静に受け止めた。懸念された暴動は起きず、株価指数は前日比約一%上昇した。

 教訓は何か。第一に、駄目な政府でも市民革命で倒してはならない。第二に、国軍は法に従って中立を保つ。最後に、いかなる犯罪行為に対しても聖域は存在しない︱︱の三点だ。前大統領に対する有罪判決は、今後の政治の成り行きに大きく影響し続けるだろう。  (13日・タイムズ)

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