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8月27日のまにら新聞から

大物逃しの飾り物?

[ 685字|2007.8.27|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領府汚職撲滅委

 腐敗した役人が権力の座に群がっているが、大統領府は彼らを刑務所送りにしないばかりか、罷免すらしない。大統領府汚職撲滅委員会(PAGC)はこのほど過去数年間に大統領が任命した政府機関幹部九十二人の汚職を勧告したが、大統領府は大物の処分をいやがっている。これら汚職の疑惑がある政府幹部の免、停職や告発を決めるのは結局、大統領府なのだ。

 エルミタ官房長官は大統領府がこのうち三十五件を除いてすでに処理し、閣僚が関与する四件を含む残る勧告については来月中旬までに決定すると言明した。大統領府は最近、職業あっせん業者に対する二十万ペソのゆすりで国家労働関係委員会の委員長を、また数百万ペソの公金使い込み容疑でイントラムロス管理局長の二人を免職処分にした。大統領府は広報活動に消極的とはいえないが、これ以外に汚職の調査と行動に出たケースは聞いたことがない。

 大統領府はわずかな金額の汚職役人をそっとクビにするか、大がかりなもみ消し工作をしているにすぎない。大統領の夫君に近いとされる政府系企業トップがかかわっている勧告も放っておかれたままだ。その顕著な例が、七億二千万ペソ以上の肥料購入基金を不正に流用した容疑で告発されたボランテ元農務次官だが、彼はまだ告訴も起訴もされていない。

 PAGCは米国と比政府から各十億ペソずつの基金が充てられて設立されたという。しかし、最もひどい汚職にまみれた役人を追放することができないのであれば解散してしかるべきである。PAGCは官界浄化の飾り物で、実は醜悪な行為を隠蔽するための役割しか与えられていない。(25日・インクワイアラー)

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