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6月11日のまにら新聞から

雨期多発のデング熱

[ 688字|2007.6.11|社会 (society)|新聞論調 ]

繁殖地の撲滅を

 雨期の始まりとともに、暖かく湿気の多いこの国を苦しめる蚊がやってくる。この害虫が与えるのはかゆみや発疹だけではない。ある種類はマラリアをうつし、日中に刺してデング熱ウイルスを媒介する蚊もいる。

 この感染症の怖さは血液検査などで正しく診断するのに金がかかるばかりか、死に至る病気だということである。この病気に最もかかりやすいのは首都圏などの人口過密地域のすし詰めになった教室で授業を受けている子供たちなのだ。

 昨今、このウイルス性疾患は東南アジア一帯で多数の死者を出し、デング熱ウイルスを媒介する蚊やその繁殖地を撲滅させることが各国政府の優先課題となっている。比では、厚生省がデング熱対策を雨期だけでなく通年のキャンペーンに変更した。

 このキャンペーンは国民の協力あってこそ成功する。蚊は水たまりや捨てられた空き缶、古タイヤなどにたまった水に繁殖する。排水のよくない植木鉢もそうだ。このため、教室に置いた植木鉢を処分したり、あるいは校庭を定期的に清掃する学校が出てきた。

 バランガイ(最小行政区)が地域全体の対策を、家庭でも同様の措置を取り、蚊の繁殖地となるものを徹底的に取り除くべきだ。

 デング熱は一年を通して脅威となる。厚生省によると、今年一・五月までのデング熱患者は五千四百三十六人で前年同期より約千人減少、首都圏は地域別で最多の千二百四十四人だった。

 早期の発見と治療により、幸いにしてまだ死者は出ていない。病気の早期発見と同様に重要なのは蚊の繁殖地をつぶすこと。身の回りを清潔に保つことが病院代を浮かせ、自分の命を救うのだ。(10日・スター)

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