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6月4日のまにら新聞から

立派な行為だが

[ 696字|2007.6.4|社会 (society)|新聞論調 ]

デフェンサー氏の敗北宣言

 未集計の票が五百万票も残っているのに、上院選で与党連合から立候補したデフェンサー前大統領首席補佐官が敗北を宣言した。現実を受け入れようとしない候補者が大勢いる中、前首席補佐官の同宣言は感銘をを与えた。まさにひとかどの人物だ。

 「敗北にも名誉があることを子供たちに学んで欲しかった」と語った前首席補佐官は、多くの政治家が忘れている点を指摘したという意味で称賛に値する。勝ち負けではなく、いかに戦うかが大切なのはスポーツ、政治、そして人生においても同じだ。

 彼はさらに自分を客観的に評して、「次期国会の一員になれなかったのは残念だが、自己を再発見してアロヨ大統領から独立したい。大統領の弁明者以上の存在になれるはずだ」とも述べた。

 記者会見の中で自身の敗北は大統領のそれを意味しないと擁護した前首席補佐官は、「勝つために違法なこともやるという疑いを払しょくし、緊張を和らげるための敗北宣言だ。私を勝たせようと民主主義の本質から逸脱した行為を私の同志や友人にやらせないためだ」と語った。何を暗示したのか、誰を指したのか。それは現政権の側だけと言う必要はないが、投票結果を改ざんしようとする人間が実在するという現実を指摘したのだ。

 彼の敗北宣言は、自身の野心を犠牲にすることで票の不正操作をしようとする者が自分以外の与党候補者に票を加算させようということではないか。そういう懸念も存在している。だが、前首席補佐官の票数が変わらず、他の与党候補者の票が増えるかどうかは数日で分かる。デフェンサー氏の国家的見地に立とうという努力を他の候補者たちも無視できまい。(1日・インクワイアラー)

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