「日刊まにら新聞」ウェブ

　朝日が昇るころからマキリン山のふもとでは、南国の野鳥が鳴きはじめる。そんな中で、竹に群れる雀（すずめ）のさえずりを聞くと、なぜか「日本」の風景を思い出す。ここでも竹は雀の宿らしい。「竹に雀」は仙台藩伊達家の紋所で、古くから日本画の題材として好まれる。竹の春、竹の秋など「竹」のつく季語は数多い。いまの季節は「竹落葉」が季語だ。

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　私事で恐縮だが、わが家は、懐かしいはずの竹に悩まされている。「いろんな竹を植えて葉擦れの違いを楽しみませんか」と、四年前に拙宅を手掛けてくれた地元の若手建築家。「サラサラ」「シュルシュル」と葉擦れは微妙に異なるという。さして広くない庭にブラック（黒竹）、ゴールデン（金明孟宗竹）、ブッダ・ベリー（布袋竹）など六種のバンブーを植えた。

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　熱帯の竹は繁殖力がおう盛で、地下茎は伸び放題。至る所からタケノコが顔を出し、庭を占領する勢いだ。葉擦れの音を楽しむ余裕などない。国連環境計画（ＵＮＥＰ）によると、竹の種類は日本が八十四種でフィリピンは二十六種。種類は少ないが、根元から切ると、中が詰まっているか、申し訳程度にしか穴が空いてないのによく出くわす。節から互生した枝は驚く程早く伸びて茂る。「所変われば品変わる」。竹にもそれを実感する。（濱）