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5月7日のまにら新聞から

殺しの季節

[ 688字|2007.5.7|社会 (society)|新聞論調 ]

候補者を狙う選挙暴力

 ルソン地方ヌエバエシハ州ハエン町で四月二十七日、候補者護衛の警官隊と対立候補の私兵団が銃撃戦を演じ、十四人が死傷した事件直後、カルデロン国家警察長官は、十四日の投票日が平穏な日になると国民の説得に躍起だった。

 この予言は大胆不敵と言うべきか、それとも愚かと言うべきか。同長官は二〇〇四年の統一選では暴力事件が二百件に上ったが、「今回は八十件しか起きていない」とし、「(統計上の)数字の下がり方は大きい」と胸を張った。

 だが、今回の選挙で最も血なまぐさい事件の後では、カルデロン長官の気休め発言は誰が聞いても皮肉に聞こえる。ハエン町の事件はただの銃の撃ち合いではなく、数百人の目の前で起きた戦争行為だ。

 事件の数や死傷者が前回統一選の域に達しなくとも、警察と政治家たちが懸念すべき点が一つある。それは、今回の選挙で殺し屋が狙っているのは選挙の下っ端運動員ではなく候補者だということである。

 ほとんどすべての事件は目撃者がいる前で起きているが、暗殺者たちは決して捕まらない、あるいは、たとえ捕まっても、権力者とのコネで懲罰を免れることができると確信しているかのようだ。「罰を受けない」というわが国の文化がジャーナリストや左派系活動家の数百の命を奪ってきたが、今や一部の権力を求める者たち、政治的な野心家たちも対象にしている。

 これらの殺害事件が示すのは、治安機関が人の命を守れず、法の執行に失敗している現実だ。カルデロン国家警察長官が、身の安全に不安を持つ国民に統計の数字を投げる以外に、なすべきことが多いのは分かり切った話である。(3日・インクワイアラー)

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