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10月24日のまにら新聞から

でまかせの国外退去

[ 689字|2005.10.24|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領夫また帰国

 今年六月末、中央選管委員に不適切な電話を掛けたと謝罪した三日後、アロヨ大統領は夫のホセミゲル氏が「自身をフィリピンから追放する」ことを決めたと発表した。大統領は「わたしの大統領としての職務が疑われないようにするための犠牲的行為」と夫の決断を称賛した。

 同氏は当時、息子のフアンミゲル下院議員と弟のイグナシオ下院議員とともに違法賭博フエテン収賄疑惑の渦中にあった。大統領の経済顧問を務めるサルセダ下院議員は、両議員にも辞任を呼び掛けていた。選挙不正疑惑で政治危機に見舞われていた大統領を救うため、何らかの「犠牲」が必要とされていた。

 ホセミゲル氏は香港に出国して帰国後、七月六日に米国に出国。フアンミゲル議員も辞任こそしなかったが、父親に続いて米国に向かった。

 ところが同氏は七月三十一日、異母姉の葬儀に出席するため一時帰国。また渡米したが、「無期限の国外退去」のはずが、万聖節を家族と過ごすために再び舞い戻ってきた。

 フアンミゲル議員も、弟や妻の誕生日を祝うため九月に一時帰国。再び出国したが、同月二十八日にまた帰国。その後、地元のパンパンガ州を訪問、軍の式典に参加したり、ゴルフをしたりしていたが、そのまま居座ってしまった。

 さて、親子の出国をめぐる大騒ぎはいったい何だったのだろうか。俳優でもある同議員に至っては、地元テレビで最近、自身が出演する映画を売り込む始末。大統領一家は「犠牲」などと大げさなことを言うのはもうやめた方がよい。誰も、大統領やその家族の言うことを真に受けていないのではないかという国民の疑念を駄目押しするだけだ。(20日・インクワイアラー)

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