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10月24日のまにら新聞から

国民に十分な説明を

[ 674字|2005.10.24|社会 (society)|新聞論調 ]

新VAT法施行で

 最高裁で十八日、付加価値税増税法(新VAT法)の合憲判決が確定、同法施行に対する仮差し止め処分が解除された。政治的緊張感が漂うこの時期だからこそ、政府は同法がなぜ必要なのか、国民に十分に説明しなければならない。

 現政権が進める財政改革の要の一つ、新VAT法の施行は国が今、本当に必要としている何十億ペソもの歳入増をもたらすだけではない。比国債の格付け向上が期待でき、フィリピンでの事業コスト削減、ひいては投資家の信頼向上につながる。

 だが、これら新VAT法によるメリットについて、物価高に直面する消費者から理解を得るのは困難かもしれない。クリスマスシーズンという時期的な要因もある。石油製品価格は、同法施行でさらに上昇が予想される。勢力拡大を狙う左派系の諸団体は、短期的観点から社会不安をあおっている。

 新VAT法を通過させた議会も、国民にその必要性を訴えるべきだ。新たに課税対象となった石油製品や電気に対する課税の一時中止を求める法案が議会に提出されているが、重要施策のそのような安易な方針転換は消費者からは歓迎されても投資家の信頼を損ねるだけだ。

 最高裁が施行日に同法施行を差し止めた際、格付け会社が比国債の格付け見通しを引き下げたことを忘れてはいけない。

 新VAT法に賛成した議員は、施行でわが国への投資が増えれば雇用が創出され、経済は発展し、歳入が増えれば国民への基本サービスやインフラ整備が拡充されることを国民に訴えるべきだ。そして、「短期的な痛み」が、長期的には利益をもたらすことを彼らに気付かせてほしい。(19日・スター)

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