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9月19日のまにら新聞から

小泉勝利と日本復活

[ 689字|2005.9.19|社会 (society)|新聞論調 ]

日本の総選挙

 日本は戦後、連合国による占領からの独立後に工業化に成功し、四十年ほどでデトロイトを上回る年産一千万台以上の自動車を生産する国家となった。日本の工業製品の進出でスイスの時計やドイツのカメラが市場から姿を消し、ソニーのウォークマンの登場で日本の奇跡的成長は最高潮を迎えた。

 しかし、日本はその後退潮期に入った。ダイナミックで攻撃的なイメージは消え、人口増加が止まり少子高齢化社会を迎えた。

 逆に二十一世紀に入り、中国が台頭してきた。年九%以上の経済成長率でその勢いは止まることはないようだ。軍事拡張も目を見張るものがあり、周辺諸国の脅威となりつつある。そして中国では日本たたきが加速してきた。教科書には戦争時の日本の虐殺行為などが必ず記され、中国共産党人民軍の愛国的戦いが前面に出ている。また、日本の首相が歴代、戦犯を合祀(ごうし)した靖国神社に参拝するたびに、中国は韓国と共にヒステリックな批判を続けた。

 中国の台頭に伴い日本の勢いは落ち込むかと思われた。だが、小泉首相の総選挙勝利が状況を変えた。小泉は戦後の政治を支配してきた自由民主党の総裁だが、古い体質を持つ政党を勇気と創造力で生まれ変わらせた。派閥によるコンセンサス主導型からパーソナリティーに重点を置く決断型に変えた。

 郵政民営化法否決に端を発した選挙だったが、小泉は今回の勝利で平和憲法改正にも取り組むだろう。今回の選挙で中国脅威論が日本の有権者に与えた影響も無視できない。日本人の精神を表す「大和魂」は死を恐れない意思である。小泉はこの魂を強化したいと主張している。(14日・スター・マックス・ソリベン))

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