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8月8日のまにら新聞から

比児童の虐待続く

[ 682字|2005.8.8|社会 (society)|新聞論調 ]

米援助の在り方

 米政府は人権侵害の著しい国には経済援助を停止する。米議会の調査機関は、児童虐待、人身売買の横行する比に対し最低ランクに近い評価を行っており、アロヨ政権は米国からの財政援助削減の危機にさらされている。このため、司法当局は人権侵害に対する強力な監視チームを組織するよう指示された。現政権は米政府からの援助と米国がコントロールする国際金融機関の援助によって「延命」出来ているからだ。

 米政府は二〇〇一年から三年間で東南アジア諸国に対し軍事訓練や装備強化に三億ドルの援助を実施した。米議会が問題にしているのは、フィリピンでこの援助が人権擁護の観点から適正に使用されているかが甚だ疑わしい点である。

 例えば、ミンダナオ地方最大の都市、ダバオ市のドゥテルテ市長のやり方は、米国務省も問題視した。適正な法手続を経ずに麻薬密売者らを「私的に」処刑しているからだ。このダバオの「処刑団」については国連機関も非難している。

 マニラではストリートチルドレンらの救援活動では改善はあったものの、子どもに対する虐待は続いている。国家警察は確たるプログラムもなしに「犯罪摘発強化」を提唱しているにすぎない。しかも、拘置所では大人の凶悪犯と少年が一緒に収監されている。九歳に満たない児童まで同じ房に入れられており、少年・児童らの将来をさらに暗く、危うくしている。

 米政府は財政援助が適正に使用されているかのチェックをあいまいにすべきでない。米国が援助打ち切りの威嚇を与えてこそ、わが国政府の人権擁護に対する無責任な態度は改善へと向かうだろう。(1日、タイムズ、エリック・マリオンガ氏)

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