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4月4日のまにら新聞から

「国の敵」を見極めよ

[ 682字|2005.4.4|社会 (society)|新聞論調 ]

軍のメディア妨害

 英字紙インクワイアラーがこのほど、二つのメディア団体が国軍情報部(ISAFP)により「国家の敵」と名指しされていると報じた。情報源は比全国ジャーナリスト連合(NUJP)のバロナ議長。同議長はわが社の照会に記事は事実と明言した。

 二団体はNUJPとフィリピン調査報道センター(PCIJ)。バロナ議長によると、ISAFPが制作したビデオCDのコピーを入手し、この中で両団体が国賊呼ばわりされていたという。

 NUJPは、質の高い報道と記者の倫理向上を目指す報道関係者の団体。活動はまったく反体制的ではない。NUJPは最近、相次ぐ記者殺害事件に非難の声を張り上げている。

 一方、PCIJは政府の汚職や民間企業の不正を糾弾する草分け的な存在で、政府内の評判は当然良くない。国防省や国軍、国家警察などの不正を暴き、NUJPとともに国民に役に立つ情報を提供してきた。

 バロナ議長は、ISAFPが地方の住民を「教育」するため、ビデオを見せて回っていると主張。国軍の宣伝活動について調査するよう議会に要請するという。

 ISAFPが、NUJPとPCIJを国家安全保障上の脅威とみなすのは誤りだ。また、反政府勢力を取材しないよう記者を脅すのも筋違い。反乱や犯罪、汚職の報道で政府の安定は脅かされず、逆に世論の形成を助けている。

 真の「国家の敵」は不誠実な政府職員や市民社会の腐敗分子、そして演説や報道の自由を認めようとしない政界や財界の有力者たちだ。われわれは自由と民主主義、正義をこの国で実現させるため、NUJPやPCIJのような組織を必要としている。(2日・タイムズ)

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