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3月21日のまにら新聞から

拘置システムの破たん

[ 692字|2005.3.21|社会 (society)|新聞論調 ]

拘置所ろう城事件

 イスラム過激派、アブサヤフの脱獄未遂事件はフィリピンの拘置システムと管理当局のずさんな体質を如実に物語った。ある検事がバゴンディワ拘置施設内に脱獄計画があると通報していたにもかかわらず、刑務所管理局はこれを無視していた。所長らへの形だけの処分は、老朽化し過密状態の刑務所が抱える現実問題への対処から目をそらすことになる。怠慢な管理者、訓練不足の看守、不十分な資金のため、拘置システムは破たんしている。数少ない刑務所に投獄されたおびただしい数の囚人がそれを象徴している。

 政府が囚人の待遇を考慮した現実的な政策を打ち出さない限りは、流血に終わったこの事件は度重なる脱獄事件のうちの一つにすぎなくなる。刑務所管理局は拘置施設を持つ国家警察や国軍、裁判がスムーズに行われない司法システム、特に重罪犯を収容するための適切な施設の欠如に対処しなければならない。

 さらに警察当局の悪習について触れよう。拘置所占拠というスキャンダルから注意をそらすため、「国際テロ組織、ジェマ・イスラミヤが聖週間にテロ攻撃仕掛ける可能性が高い」とより大きな脅威を明らかにした。これは警察と同管理局に向けられた説明責任から逃れるための発言だ。

 事実はアブサヤフがまたしても政府をうち負かしたということだ。銃撃戦でそのメンバーは殺されたが、拘置所の中であっても彼らの活動を封じ込めることすらできないことを世界中に知らしめたのだ。これらすべての遺憾なエピソードはアブサヤフが政府機関のおひざ元でも効果的に機能することを示した。また、野外にいるほかのメンバーを鼓舞することになったのだ。(16日・インクワイアラー)

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