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3月14日のまにら新聞から

回答は権利章典で十分

[ 674字|2005.3.14|社会 (society)|新聞論調 ]

対テロ法案のメディア罰則

 大統領府は、対テロ法案でメディアがテロリストの声明を放送することを罰しよういう軍部の提案から距離を置こうとしている。ブニエ報道長官はテロリストとのインタビュー禁止は正しくないが、報道内容の制限には賛成すると言った。しかし、メディアに関しては、この区別の仕方はごまかしにすぎない。

 ジャーナリストにとって、紙面に掲載されなければ、インタビューして記事を書くことに何の意味もない。もし紙面に掲載されても、国の安全を守る人たちとのインタビューが毒にも薬にもならず、ねじ曲げられ、けちゃくちゃに書き直されれば、やはり意味がないのである。ブニエ報道長官は間違った前提から議論を進めているのだ。

 国軍のアダン参謀次長が、国会審議中の対テロ対策法案に国軍の要求を盛り込むよう発言したとき、テロリストとのインタビュー禁止に言及してはいない。テロリストが「反人民、反国家の発言を放送し、反政府行動を扇動する」ことを許すなら、メディアはその責任を負うべきだ」と言ったのである。さらに「テロリストは国家と国民の自由を破壊するよう行動してきた。今や、いわゆる報道の自由を自分達のために利用しようとしている」とも言った。くだらない発言だが、少なくとも軍部の心理を示している。

 この際、弁護士でもあるブニエ氏に期待することが一つある。権利章典を引用してさえくれればいいのだ。「言論、報道の自由、平穏に集まって政府に対して不満を表明する権利を狭めるような、いかなる法律もこれを成立させてはならない」。これこそばかげた主張に対する決定的な一撃というべきだ。(8日・マラヤ)

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