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2月21日のまにら新聞から

アブサヤフの正体

[ 680字|2005.2.21|社会 (society)|新聞論調 ]

連続爆弾テロ事件

 ミンダナオ地方スルー州で決起したイスラム最大勢力、モロ民族解放戦線(MNLF)ミスアリ前議長支持派と国軍の激しい戦闘がイスラム過激派、アブサヤフに新しい光をもたらした。アブサヤフは正義の闘いと称し、MNLFとアブサヤフの混成ゲリラに対する国軍の攻撃に反発する南部の穏健派イスラム組織のリーダーから同情と敬意を得る道筋をうまくつけたようにみえた。

 しかし、十四日の連続爆弾テロでアブサヤフがミスアリ前議長支持派の同盟者から得ていたかもしれない政治的利益は粉々に吹き飛ばされた。三都市で十一人の死者を出したことによって、イスラム教徒の幸福のために活動する組織と認識してもらうチャンスを失った。

 アブサヤフの幹部はこのことに気付いていないのか、もしくは、爆発音や血みどろの光景を好きこのむあまり、我を失ったのか。マカティ市で起こした爆破テロの直後、アブサヤフのスポークスマンは「アロヨ大統領に対するバレンタインデーギフトだ」との声明を出した。

 これがテロリストのやり方だ。アブサヤフは女、子どもを拉致し、宗教者や外国人を拷問の末に殺害、港や旅客船を爆破させたこともあった。死体を大統領への贈り物だと公表したのは、四年前に米国人の人質を処刑した時にやったことの焼き直しに過ぎない。

 明らかにアブサヤフの暴力とテロのイデオロギーは二度と変わることはない。その正体を再び現した今、アブサヤフは戦闘で疲労したミンダナオの人々と同様、多くの無実の人々に死や危害を加える弁明として宗教が持ち出されることに憤るイスラム教徒からも疎遠となった。(16日・インクワイアラー)

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