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2月7日のまにら新聞から

政府発表のまやかし

[ 700字|2005.2.7|社会 (society)|新聞論調 ]

GDP高成長率

 政府は昨年の国内総生産(GDP)成長率が六・一%となったことに大喜びし、誇大に宣伝している。しかし、政府にだまされ続けてきただけに、真に受けた国民はほとんどいなかった。今回、「バラ色」の発表が意味するところを明らかにしたい。

 GDP成長率の大幅な上昇は、統一選の実施が主な要因だ。選挙運動には総額で五百億ペソから八百億ペソが投入された。アロヨ大統領は公金を使って道路の清掃作業に大量の庶民を雇い、無料で健康保険カード、米をばらまいた。また、票数を不正操作するため軍や警察、選管を買収。彼女だけで約四百五十億ペソを使ったとみられている。

 選挙以外では、世界的な需要回復で電子機器の輸出の伸び率が前年の四・四%から一四・四%に急増した。だが、電子機器は部品の九割を輸入し、比での付加価値は価格の約五%にすぎない。ほかはコールセンター産業の成長だけ。農業や工業部門の成長率は軒並み一けたにとどまった。

 経済成長の目安は製造業だ。専門家によると、サービス産業の比経済に占める割合が一九八〇年代の三八・四%から二〇〇三年には五三・五%と拡大の一途をたどったのとは対象的に、製造業は二五・一%から二三・一%に減っている。これに対し、マレーシアは三二・一%、タイが三三%、中国は四四・四%にも達している。

 七%を超える成長を少なくとも十年以上続けないと低開発から脱せないというのが経済の原則。高い人口増加率を考えればわが国が確実に後退していることは明白だ。大統領は高成長と大げさに褒めているが、真の経済実情を隠すため、まやかしの統計を使っているだけだ。(2日・トリビューン、ヘルマン・ラウレル氏)

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