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1月31日のまにら新聞から

ヨベルの年

[ 673字|2005.1.31|社会 (society)|新聞論調 ]

第2期ブッシュ政権発足

 ブッシュ米第二期政権が発足した。大統領はさらなる「米国の正義」実現を全面に押し出し、国民に対し、信念実現に向けたさらなる飛躍への支持を訴えた。しかし、その「飛躍」は世界をさらなる脅威にさらす自殺行為ともいえる飛躍だ。

 ブッシュ政権の新たな外交政策は確かに反論の余地がない。いわく「世界の圧政に終止符を打ち、いかなる国家、文化においても民主化の推進を支援していく」。しかし、この自由の福音は自身を破壊しかねない危険性をはらんでいる。

 過去に就任演説で自由の御旗を掲げた米大統領はブッシュ大統領だけではない。しかし、ほかの大統領はそれを手段に世界を作り変えてしまおうとまではしなかった。

 政治的原理主義や過激派により世界中が脅威にさらされている中で多元的に共存していこう、との動きが強まっている。その中で、大統領は「自由」を米の宗教的教義にしてしまった。

 聖書の言葉を引用し、大統領は言う。「新世紀の初頭である今日、米は世界中の人々に対して自由を宣言する」。これは旧約聖書レビ記二十五章十節の中にある、「ヨベルの年」になぞらえたものだ。ヨベルの年とは、五十年ごとに貧しい者救済のため、すべての民と土地を全土に渡って解放する約束のことだ。

 ブッシュ大統領の「我々の側かテロリストの側だ」という言葉は、もはや次のような言葉に変わってしまった。「我々の側か、神に逆らうかだ」。

 聖職者、そして自由の預言者としての役割を演じるブッシュ大統領により、民主化を求める世界の動きはもっと混迷の度を深めることになるだろう。 (23日・インクワイアラー)

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