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1月24日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 556字|2005.1.24|社会 (society)|ハロハロ ]

 この国で犯罪記事を書くのに最も頭が痛いのは「逮捕」である。頭だけではない。仕事の上でも痛い目に遭う。

 ある日本人がホテルで知り合いの部屋にいたら、いきなり警官に踏み込まれた。「銃はどこだ」と騒いで、見つからないのに警察署にしょっぴかれた。もちろん逮捕状なしだ。一日、留置されたが、検察官が逮捕状の請求を認めず、釈放された。日本なら一種の誤認逮捕で、人権問題になるが、マニラではうやむや。

 セブ市で比人女性が自室で殺害された。しばらくして警察が夫の邦人を拘束して三日間以上も留置した。これも逮捕状請求が認められず、しかも不起訴処分である。殺人事件で令状無し逮捕など、日本ではまず、ない。

 いずれも警察は「逮捕」したはずだが、逮捕令状がないので事後に「逮捕」でなくなってしまう。最近の例だが、マニラ市のゴールデンモスクでイスラム教徒十六人が爆弾テロ未遂事件の一味として現行犯逮捕された。二人を除いて全員が善良な信徒とわかり、釈放された。警察は遺憾の意を表明したが、誤認逮捕の件は口をぬぐったままである。

 その日のうちに記事を書き、新聞が印刷される。逮捕とは公権力が人権を一時、侵害する行為だが、肝心の権力が逮捕を甘く見ている。この国の事件記事は、日本でのように警察を信じて書くと痛い目に遭う。(水)

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