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11月11日のまにら新聞から

レッテル張りの報い

[ 690字|2002.11.11|社会 (society)|新聞論調 ]

NPAのテロ組織指定

 アロヨ政権の強い働き掛けを受けて、欧州連合がフィリピン共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)をテロ組織に指定した。マラカニアン宮殿はテロ組織指定を「共産主義者を和平交渉のテーブルに戻すための戦略」と言うが、私たちは「読みを間違えたギャンブル」以外の何物でもないと考える。

 フィリピン側の思惑とは別に、欧州連合はフィリピン自体に「テロリスト天国」のレッテルを張る動きさえ見せている。比政府は、路上のごろつき集団まで、ありとあらゆる武装グループを「テロリスト」と呼ぼうとしているのだから、領土が「テロリスト天国」と呼ばれても仕方がない。下手な賭けに出た報いだ。

 テロ組織指定の狙いは、国外資産の凍結や国外からの支援寸断で、NPAの活動をマヒさせることにある。しかし、冷戦終結後、NPAは活動資金源を国外の支援者から国内での「革命税徴収」などに切り替えており、その効果には大きな疑問が残る。

 また、指定により、NPAと国軍内部に何か変化が出るのか。答えは否だ。テロ組織に指定されても、NPAは一歩もひるまないだろうし、他方国軍の士気や能力が向上するわけでもない。

 和平交渉のテーブルに戻るかとの問いについても、答えは否だろう。NPAと政府の距離は遠くなるばかりで、交渉自体が消滅する可能性さえはらんでいる。

 反政府武装勢力に「テロリスト」「テロ組織」というレッテルを張っても問題は何も解決しない。外国人、特に米政府にレッテル張りの役割をゆだねたことも間違っている。真のテロリストを見つける方法は、地道な情報収集、捜査活動しかないということを肝に銘じるべきだ。(7日・トゥデー)

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