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11月4日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 465字|2002.11.4|社会 (society)|ハロハロ ]

 「バリ島を敬遠し観光客がわが国に押し寄せる」。ゴードン観光長官の相も変らぬ放言である。昨年はアブサヤフの拠点、スルー地方を観光メッカにすると提案して失笑を買った。政府高官のこの類の発言は、程度の差こそあれ、日常茶飯事と言える。ペソが続落しても通貨当局は決まって「一時的なもの。ファンダメンタルズ(経済の基礎条件)は健全」などのコメントを繰り返す。

 対照的なのが、日本人の「強迫神経型ペシミズム」である。八〇年代、東京で経済記者となって驚いたのは、企業関連ニュースにあふれる「生き残りを賭ける」との表現だった。この種の悲壮感が明治以降の日本独自の近代化、戦後復興、経済大国化を可能にした原動力のひとつであったのは確かである。

 個人生活のレベルではとことん楽天的なフィリピンに軍配を上げたい。だが、政治家の「統治能力」となると話は別である。事態を冷徹に見つめ、これに適切に対処し、発言内容に心を砕かねばならないからだ。自信喪失で「縮み志向」に拍車が掛かる日本。政治の質が問われていることでは両国に大差はない。 (康)

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