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11月4日のまにら新聞から

北欧生まれ、米国経由

[ 693字|2002.11.4|社会 (society)|新聞論調 ]

ハロウィーンと万聖節

 古代ケルト人の暦では、現在の暦の十月末日が一年の終わりだった。魔法使いたちがそろって現れるのがこの日の夜、ハロウィーンである。シンボルはカボチャをくりぬいた「ジャック・オ・ランタン」である。この風習の起源はアイルランドで、ジャックというしみったれの酔っぱらいが天国にも地獄にも行けず、悪魔が代わりにランタンをくれてやったとの言い伝えによる。今もジャックは居場所を探して地上をさまよっているという。

 ハロウィーンはバレンタインデー、サンタクロースとともに米国からもたらされた文化の一つだが、米国で始まったのは十九世紀の中ごろにすぎない。ケルトの風習がキリスト教の祭日になったのは、この日が万聖節の前日だからだ。「ハロー・イーブン」(万聖節の前夜)がなまって「ハロウィーン」となった。面白い習慣があって、この日に暗がりでロウソクを持って鏡を見ると、将来結ばれる人が見えるといわれる。

 興味深いことに、今ではハロウィーンは万聖節より長期間にわたって祝われるようになった。本来は万聖節の前日だけなのに、高級住宅街では、家々の飾り付けが十月初旬には始まる。子どもたちは「お菓子をくれなきゃイタズラするよ」と町をうろつく。米国ではもっと露骨で、「足をなめるか、食べ物よこすかどっちか選べ」となる。高級住宅街で、警備員やごみ収集業者、運転手やメードの子ども達も一緒になって祝うのは、ほほえましい光景である。

 田舎では、ハロウィーンの祝いはナガガルルワと呼ばれる。子どもばかりが盛り上がるのはいずこも同じ。地域を一つに結びつける祭りを私たちは愛する。(29日・スター、アレハンドロ・ロセス氏) 

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