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7月23日のまにら新聞から

為替市場の改革必要

[ 685字|2001.7.23|社会 (society)|新聞論調 ]

ペソの暴落対策

 外国為替市場には道義心は存在しない。現在、投機家による為替投機を阻止する方法はない。外国人投機家はアジア経済の高度成長を後押しし、そして四年前のアジア通貨危機と共に去っていった。後には廃墟と化したアジアの国々だけが残された。

 投機家のマウスのクリック一つで自国の経済が破綻させられることを知ったアジアの国々は、様々な変革を行っている。経済学者達はマレーシアのマハティール首相が採用した固定相場制や為替取引の規制と言った強引ともみられた政策から学び始めている。

 銀行の経営安定や不動産規制、短期資本への規制が導入されてきたフィリピンはアジアの国々の中では最も通貨危機の影響が少ない国だった。しかし、政情不安や汚職問題、さらにはイスラム過激派、アブサヤフの人質問題により、ペソは暴落。タイ・バーツよりもずっと低いレベルにまで下落した。

 さらに世界的な経済低迷とアルゼンチンの債務不履行で、ペソの暴落はとどまる気配はない。ブエナペントゥーラ中央銀行総裁によると大銀行を中心とした金融部門による、大規模な投機がまた行われており、ペソは不安定になる一方という。

 しかし、同総裁はだれが投機活動に従事しているか分かっているのだろう。問題は、たとえこういった違法投機が発覚しても法律で定められた罰金は一日当たり三万ペソだけということだ。何百万ももうけるという投機活動の罰金がたったの三万ペソとは!

 投機家による通貨暴落を止める手だては中銀に残されていない。金融当局は議会と協力して金融市場を強化する法案の制定を急ぐべきだ。ペソ暴落は、国内の市場が改革を必要としている証だ。

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