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7月9日のまにら新聞から

身代金で稼ぐ仲介人

[ 715字|2001.7.9|社会 (society)|新聞論調 ]

アブサヤフ誘拐事件

 あなたはイスラム過激派、アブサヤフに愛するものを誘拐され、確実に解放してもらうために身代金を支払うその家族を非難できるだろうか? 身代金要求に応じないという方策を強行する論理に理解を示す人々は多い。犯罪に対して金は支払われるべきではなく、さらなる誘拐を起こさないための意図がある。しかし、これはあなたの愛する人の命にかかわらない場合の論理になりがちだ。

 誘拐犯が早い段階で解放するなら、身代金は払わないという政府の方針に協力しやすいだろう。しかし、アブサヤフがパラワン島にある高級リゾートから米国人を含む観光客ら二十人を誘拐して、既に五週間になる。アブサヤフは人質のフィリピン人三人の首を切り落とすなど四人を「処刑」した。米国人も殺害された可能性が高い。

 解放された人質の家族が身代金を支払ったと広く思われている。アブサヤフが衛星電話を使用しても、人質の家族と直接に交渉することはできない。骨折りの代償として仲介料の要求なしに、多額の身代金の支払い交渉をする仲介者はめったにいないだろう。 少なくとも三人の仲介者が確認されている報告があり、アブサヤフに支払われた身代金の半分を着服しているとみられている。政府は誘拐を扇動するだけでなく、誘拐から利益を得ている仲介人を追わなければならない。

 誘拐の仲介人はアブサヤフの場合に限ったことではない。首都圏でもこの手の仲介人は確認されており、解放の仲介を申し出て、身代金の一部を受け取っているのだ。

 政府当局は、アブサヤフに高級リゾートや金持ちの宿泊客について情報提供した人物を見つけ出さなければならない。アブサヤフの活動を手助けして利益を得る者も重罰を与えられるべきである。

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