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7月9日のまにら新聞から

裁判生中継の再考を

[ 693字|2001.7.9|社会 (society)|新聞論調 ]

前大統領の不正蓄財裁判

 最高裁は、このほど下した「エストラダ前大統領の不正蓄財裁判を報

道機関が生中継するのは不可」とした判決を再考すべきだ。

 理由は二つある。第一に、生中継を通して、裁判の流れを見ることで、国民はこの国の民主主義が実際、どのように機能しているかを知ることができる。第二に、大統領だった人物の罪を裁くということは尋常ではない。ゆえに、例外として許可されなければならない。

 最高裁は、「テレビ中継は裁判の行方に注目する人々の行動に大きな影響を与える」と指摘、長官を除く判事十四人のうち八人が反対した。       

 生中継は大衆を尋常でない行動に導き得る。まさにその通りだろう。前大統領の弾劾裁判では、前大統領を支持する陪審員を務めた上院議員が前大統領を守るため、証拠書類の開示を否決。その場面が生中継で流され、国民の怒りを買い、前大統領は大統領職を追い出される結果となった。生中継がなければ、前大統領は現在も大統領だったかもしれない。

 前大統領が投獄されるのか無罪放免なのかの裁判手続きを国民が見るために、ラジオとテレビを通して中継しようではないか。最高裁が裁判手続きに何らかの支障が出ると恐れるなら、防衛手段を取ればよい。  

 例えば、生中継は許可するが、審理内容についての批評を付け加えるのを禁じることはできる。また、中継を見た国民が審理内容に困惑する危険を回避するために、最高裁が批評ではなく、審理中に争点となる法律などの説明を加える廉潔な法律家を指名することも可能だ。

 裁判で審理されるのは前大統領一人だけではない。検察、弁護側と公務員特別裁判所も公平に審理されるのだ。

社会 (society)