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6月25日のまにら新聞から

不正義への抗議?

[ 664字|2001.6.25|社会 (society)|新聞論調 ]

終身刑議員の再選現象

 レイプ罪で終身刑を言い渡され、モンテンルパ刑務所に収監されているハロスホス下院議員=ミンダナオ島北サンボアンガ州選出=がまたしても獄中再選を果たした。前回同様、地滑り的な勝利を収めた。

 ハロスホス議員と親しい友人との昼食の際、この不可解な現象を分析してもらった。

 同議員が当選した理由について、マニラなど都市部では大規模な買票行為という説明が最も説得力を持つだろう。だが、この友人は「北サンボアンガ州は有権者数も多く、効果的な買票は期待できず、刑務所の中から不正を働くのは難しいだろう」と言う。

 同議員は一審判決で終身刑を言い渡され、現在、控訴中。刑は確定していないが、政治生命を断たれて当然であろう。

 なぜ、ハロスホス氏が獄中から二度も再選されたのか。

 友人の分析によると、同州の有権者たちは同議員が腐敗した司法による不正義の犠牲者で、有罪判決は偏向したマスコミ報道に著しく影響された結果と信じている。選挙で同議員に一票を投じることはこの不正義への抗議を意味するという。

 刑務所内に構えた同議員の事務所には常に接見者たちの行列ができている。バランガイ首長たちは飲料水供給など公共事業予算を、住民は就職、葬式代などを面倒みてもらえるよう陳情する。

 友人は「ハロスホス氏は議会審議には出席できないが、地元の病院改築、道路網整備などで他の議員よりも選挙区民に尽くしている」と説明してくれた。

 友人との昼食は終わった。「ハロスホス現象」を本当に理解できた時、不可解なことだらけのフィリピン政治への理解も深まると思う。

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