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1月7日のまにら新聞から

「合同哨戒挑発に当たらず」「他国との実施も予定」 アニョ安保担当大統領顧問

[ 953字|2024.1.7|政治 (politics) ]

国家安全保障会議のアニョ事務局長が、「比米合同哨戒は挑発行為にならない」と中国に反論。米国以外との多国間合同哨戒の可能性にも言及

 今月3~4日に南シナ海の比の排他的経済水域(EEZ)内で米軍第1空母打撃群と実施された比米合同哨戒を含む海上活動について、国家安全保障会議(NSC)のアニョ事務局長(国家安全保障担当大統領顧問)は5日、中国外務省による「挑発行為をやめよ」との非難に対し、「わが国のEEZ内で国際法、特に国連海洋法条約(UNCLOS)に則って実施したことは明確だ。なぜ、この活動が『挑発』とみなせるのか」と反論した。

 さらに、地域の平和と安定・ルールに基づく国際秩序を確保するための多国間協力の方法として、米国以外の友好国とも合同哨戒を行う予定があることに言及した。昨年6月に日本で開催された初の比日米NSC担当高官会談では、比日米合同哨戒について意見が交換されていた。

 その上でアニョ氏は、「中国との外交協議の扉は開いており、国際法に基づいた平和的な対話を通じ、地域の当事国にとって最良となる解決に到れると信じている」と呼びかけた。

 中国外務省の汪文斌報道官は4日、比米合同哨戒について「武力を誇示する挑発的な軍事活動であり、南シナ海問題の管理の助けにはならない。中国は当事国に対して、無責任な行動をやめ、平和と安定のための地域の国々の努力を尊重することを要求する」との声明を出していた。

 軍隊間での「挑発」は、武力行使の口実にもなりかねない行為。これまでも中国は、南シナ海上での米中軍艦や航空機の急接近事案が発生した際などに「挑発行為」として米国側を非難している。

 しかしその一方で、中国も軍事的圧力を強める。人民解放軍で南シナ海を管轄する南部戦区は5日、空海合同の軍事演習を同海で実施したと発表。それに先立ち南部戦区は、比米海上共同活動と同じ3~4日の日程で空海軍哨戒を実施し、比米軍艦を追尾・監視したほか、空対空ミサイル攻撃実弾演習を行っていた。

 UNCLOSは、軍艦が他国の「領海」(沿岸基線から12カイリ以内)を通過する場合、「兵器を用いる訓練または演習」などを無害通航権の適用範囲外として禁止する。3日、訓練海域で比海軍艦と遭遇した中国海軍フリゲート艦「黄山」(134メートル)は比艦に対し、無線で「われわれは自国の領域内で活動を行っている」などと領土主権を主張していた。(竹下友章)

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